ご相談の例
- 無断欠勤を続ける社員や,犯罪を行った社員がいるので解雇できないか。
- 解雇した従業員から解雇が無効と言われているが,無効となる場合はどのような場合なのか。
- 経営が厳しいので従業員のリストラや,有期契約社員の雇い止めをしたい。
- 試用期間中の労働者の本採用拒否や,採用内定の取消しをしても大丈夫か。
- 退職勧奨が違法になる場合はあるか?
弁護士に相談するメリット
解雇・退職に関する法律的な情報も,インターネットや書籍等で比較的簡単に収集できるようになりました。しかし,収集した情報が間違いのないのか,そしてその情報がご自身のトラブルにあてはまるのかを判断することは簡単ではありません。
さらに解雇・退職問題は,事実認定のとらえ方,証拠の評価,法的解釈,判例等をもとに,現実的にどのような法的手段を選択するのか,手続きの進め方の知識経験など,情報を取得しただけでは対処できない部分が多く存在します。
この点,経営をされている方にとっては,税理士や社会保険労務士の方が専門家として身近な存在に感じられることもあるかもしれません。しかし,税理士や社会保険労務士は税法や社会保険等の専門的知見はもっていますが,解雇・退職の法的紛争に直接対処することが多いとは言えず,特に法的紛争を直接代理する権限はありません。
これに対し,弁護士は普段から解雇・退職問題の法的紛争を取り扱い,必要に応じて交渉や訴訟等の代理人業務を執り行っています。そのため,弁護士に相談をすることは,法的問題のより適切な解決につながるという点においてメリットがあります。
当事務所の強み
事務所理念である「 頼れる 身近な 法律事務所」を目指し続けて,日々研鑚を重ねているため,次のような強みがあります。
1.充実した体制の「頼れる」法律事務所
当事務所は弁護士が4人在籍する古河市最大規模の法律事務所です。
担当弁護士と代表弁護士の2人体制で対応することが基本ですが,ご相談内容に応じて柔軟に体制を変更できます。
2.地域に密着した「身近な」法律事務所
弁護士が遠方にいる場合,突然の事態に対応することは難しさがあります。
当事務所は地域に密着しているため,何かトラブルがありましたら,すぐに駆け付けることができます。
ご相談の流れ
まずは,お電話かメールにてお問い合わせください。
ご相談・ご依頼の流れの詳細については,こちらのページをご覧ください。
費用
弁護士にご相談・ご依頼される場合には,大きく次のような費用がかかります。
(1)相談料
事案の内容を把握するために,ご相談いただく際にかかる費用です。
(2)着手金
弁護士に依頼をする際にかかる費用です。
原則として,依頼の成果が得られるかに関わらず必要となります。
(3)実費預かり金
印紙代,郵券代,交通費,記録謄写代,鑑定費等,ご依頼を進めるにあたり必要となる実費についてお預かりするものです。
(4)日当
ご依頼の内容によっては,出張や期日への出頭などについて,日当が発生することがあります。
(5)報酬金
事件が終了した段階で,得られた成果に対して発生する費用です。
なお,各事件に関する費用の詳細については,こちらのページをご覧ください。
Q&A
・従業員を解雇できるのはどのような場合か?
解雇には1.整理解雇、2.普通解雇、3.懲戒解雇の3種類があります。
整理解雇は,人員削減の必要性がある場合に行う解雇のことで,そのような必要性がある場合には従業員を解雇することが可能となることがあります。
普通解雇は,能力不足や勤務成績不良などの場合に行う解雇のことで,就業規則の普通解雇事由が認められる場合に従業員を解雇することが可能となることがあります。
懲戒解雇は,会社に対する横領などの不正行為,業務命令への重大な違反などがある場合に行う解雇のことで,就業規則の懲戒事由が認められる場合に従業員を解雇することが可能となることがあります。
・整理解雇ができる要件は?
整理解雇の要件は,
ア)人員削減をする経営上の必要性があること
イ)解雇を回避するための最大限の努力をしたこと
ウ)解雇対象者の人選基準とその運用が合理的であること
エ)労使間で十分に協議するなど解雇手続が妥当といえること
とされています。
加えて,解雇予告を行うか解雇予告手当を支給することも必要です。
なお,ア)の要件に関しては,経営赤字でなくても,経営合理化等のための使用者の判断が尊重される傾向にあります。
また,イ)の具体例としては,新規採用停止,経費削減,非正規従業員の雇止め,余剰人員の配転・出向,希望退職者の募集などがあります。
・普通解雇ができる要件は?
普通解雇の要件は,
ア)解雇権濫用にあたらないこと(労契法16条)
イ)解雇予告義務に違反しないこと(労基法20条)
ウ)法律上解雇が制限される場合にあたらないこと
です。
法律上解雇が制限される場合としては,業務上災害による療養中の解雇禁止,産前産後休業中の解雇禁止(労基法19条),育児休業,介護休業,子の看護休暇,所定外労働の制限,時間外労働の制限,深夜業の制限,所定労働時間の短縮措置の申出等を理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止(育児介護休業法10条,16条,16条の4,16条の9,18条の2,20条の2,23条の2)などがあります。
・普通解雇が解雇権濫用にあたる場合とは?
普通解雇が解雇権濫用にあたるのは,解雇が客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合です(労契法16条)。
「客観的に合理的な理由」があると認められるのは,解雇事由にあたる事実があり,それが証拠や根拠に基づく場合です。
解雇事由は基本的に就業規則に定められている必要がありますが,就業規則上の解雇事由は例示的なものと解釈することが可能なことから,それ以外の事由による解雇が直ちに違法となるものではありません。
就業規則で普通解雇事由として定められるのは,1.身体・精神の障害により業務に耐えられないこと,2.能力不足や勤務不良で改善の見込みがないこと,3.規律性や協調性を欠き他の従業員に悪影響を与えること,4.休業期間満了後も復職ができないことなどがあります。
また,解雇が「社会通念上相当」と認められるかについては,企業の種類・規模,職務内容,勤務成績・態度,規律違反行為の有無・態様(業務命令違反,職務専念義務違反等),注意や指導・反省の機会の付与,他の労働者との取扱の均衡などが考慮されます。
・解雇予告義務とは?
従業員を解雇しようとする場合には,30日以上前に予告をするか,予告をしない場合には30日分以上の賃金を支払わなくてはなりません(労基法20条1項本文)。
もっとも,天変地異などやむを得ない事由により事業継続が不可能となった場合や,労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合には,解雇予告や予告手当が不要となります(同項但し書)。そのような場合には,労働基準監督署に申請をすることにより認定を受けることが必要です(解雇予告除外認定)。
また,たとえば解雇予告手当を10日分支払った上で20日の予告期間を置いて解雇するなど,予告期間と予告手当は併用することもできます。
・解雇予告が不要な場合はあるか?
解雇予告除外認定を受けた場合のほか,以下の労働者については解雇予告が不要とされています(労基法21条)。
1.日雇い労働者
2.2か月以内の期間を定めて雇用される者
3.季節的業務(たとえば海水浴場,スキー場など)に4か月以内の期間を定めて雇用される者
4.試用期間中の労働者
ただし,2.または3.の労働者が所定の期間を超えて引き続き雇用される場合や,4.の労働者が14日を超えて雇用される場合には解雇予告が必要になります。
・懲戒解雇ができる要件は?
懲戒解雇の要件は,
ア)就業規則上の懲戒解雇事由に該当すること
イ)解雇権濫用にあたらないこと(労契法15条)
イ)解雇予告義務に違反しないこと(労基法20条)
エ)法律上解雇が制限される場合にあたらないこと
です。
懲戒事由として定められることが多いのは,1.経歴詐称,2.職務懈怠(無断欠勤,遅刻過多など),3.業務命令違反(時間外労働・出張・配転命令など),4.業務妨害,5.職場規律違反(社内での横領・窃盗,セクハラ・パワハラなど)です。
社外での犯罪行為を行った場合など従業員の私生活上の言動は,事業活動に直接関連するものや企業の社会的評価を下げるものであれば懲戒対象となります。
また,解雇が懲戒権濫用にあたるのは,労働者の行為の性質・態様その他の事情に照らして客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当と認められない場合です。
懲戒解雇は懲戒処分の中で最も厳しい処分であるため,解雇権濫用の判断の中では,より軽い処分で足りないかどうか,他の例と比較して重すぎることにならないかなどが判断されます。
・有期契約社員の雇い止めができない場合とは?
以下のような場合に,契約期間満了前または満了後すぐに労働者から契約の申込みがあった場合,その申込みを拒絶することが客観的に合理的理由を欠き社会通念上相当と認められないときには,有期契約が同一条件で更新されたものとみなされ,雇い止めができないことがあります(労契法19条)。
1.過去に反復して更新されており,実質的に無期契約と同視できる場合
2.期間満了時に契約更新されるものと労働者が期待することに合理的理由がある場合
いずれの場合も,契約が自動更新となっていたり更新手続が形骸化している場合や,更新の頻度が多い場合,契約期間が長い場合,業務内容が正社員と実質的に異ならない場合などには,無期契約と同視されたり,労働者の契約更新への期待が保護されることがあります。
・試用期間中の解雇・内定取消しが無効となる場合があるか?
試用期間中の労働契約は,解除権留保付の労働契約(後日の調査や観察に基づき本採用するか否かの決定権を留保した契約)と解されます。
また,採用内定は,始期付・解除権留保付の労働契約と解されます。
そのため,使用者(会社)は,この留保解除権に基づき本採用の拒否または内定取消しをすることができますが,客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が認められない場合,解雇権の濫用にあたり,無効となることがあります。
・退職勧奨が違法になることがあるか?
退職勧奨は,社会通念上相当と認められる範囲において行われる限り,違法となることはありませんが,手段・方法が相当な範囲を超えた場合には違法となることがあります。